夏の健康管理 四季の中でもっとも危険の多い夏 |
|||||||||||||||||||||||||||||
暑さについて 個々の犬がどの位の温度で暑いと感じるかは、子犬の頃からの環境によって多少の差があります。生まれてから、自然の温度の中で暮らしている犬、室内でエアコン調節の生活を続けている犬、どちらが良いかは程度によりますが、どちらにしても極端な高温多湿、極端に冷えた室内は健康的な生活環境ではありません。 母国では・・・・アイリッシュセターの母国アイルランドでは年間を通して、気温が零下にも30℃以上になることもなく、冬の夜、寒くても1〜2℃、夏の昼間でも20〜22℃くらいです。この犬種が改良されてから既に150年以上は経過しているので、当初と完全に同じ適応性かどうかは別としても、コートの種類や体型に大きな違いはないので、ほぼ同様と考えてよいと思います。 アイリッシュセターの被毛(コート)はアンダーコート(下毛)が非常に少なく、柴犬やシベリアンハスキーなど寒さから身を守る北方系犬種のコートのような保温や体温調節の役目は果たせませんし、またアウターコート(外毛)も細く厚みがないので、雨風からの防御力も強くありません。すなわち、アイリッシュセターにとっては、暑すぎても寒すぎても、快適生活環境ではないのです。 また、気温だけでなく、湿度が大いに影響することを念頭において下さい。 室内犬は 冷え過ぎたエアコンの強い風が直接当たらないように調節して下さい。 また犬がいる床面近くだけが冷えすぎるような温度差をなくすには、部屋の天井に向けて扇風機を使うと効果的です。 セターはアンダーコートが非常に少なく毛の厚みがないため、自由に室内に放れている場合、自分の体温で床面が暖まると、冷えている床面を探して移動します。この様な移動が出来ず、バリケンネルなどに入れたまま2〜3時間以上も置く場合は、体を動かすことが充分にできるサイズが望ましいのですが、最大サイズのバリケンネルやケージでもほとんど体位は変えられませんし、長く入れ続けるには風通しも悪く、湿疹や座りダコ、脱毛などの原因となります。バリケンネルに入れ続けるのでなく最低2m四方ほどのサークルなどに変えて、犬の動きを可能にして下さい。 屋外にいる犬は よほど涼しい環境でない限り、アイリッシュセターを屋外で飼う管理は非常に難しいものです。これから飼うつもりの方で、屋外で、一日中、鎖やヒモに繋ぐつもりならば、犬に自由を与えられるような生活環境になってから飼うほうが、神経は疲れません。 アイリッシュセターは、繊細なシルキーコートですから、常に手入れをして清潔に、美しく健康に飼ってこそ、この犬種の良さを楽しめるのです。鎖やヒモで首の毛はスリ切れますし、よほど頻繁に手入れをしない限り、泥やほこりで犬のコートや全身の清潔さを保つことは困難です。 屋外の暑さについては、子犬のころから外にいて慣れているかどうかで、多少は犬の耐性が違います。直射日光を避けることはもちろん、どんなに涼しい地域でも樹木や屋根などで日蔭があり、風通しが良いことも重要です。また、日よけの屋根の高さは、高い方が輻射熱をためません。 犬舎の場所としては、エアコンの室外機の熱い排気や、クルマの排気ガスなども避けなければいけません。また、太陽の動きにつれて、日蔭に犬が動けるように配慮して下さい。日中、何回も飲み水を替えたり、犬が足を浸けられる水を張ったタライ状のものを置いてやると良いと思います。 屋外に置いている場合は特に、呼吸、ヨダレの様子、食欲、便など充分に注意してやって下さい。 元気な状態で涼しくする方法
食欲が落ちる犬 暑さが原因の場合は、 これまでの餌の中に氷を3〜4片入れて、少し冷たくして与える。 ご飯に肉(牛、鶏)、魚(マグロ、白身魚)、大豆など良質でタップリのたんぱく質を加えて煮たもの、あるいはこのようなスープを従来の餌に加えるなど、手作り餌にする。 煮干、レバー、無塩チーズ、カッテージチーズ、タマゴ、麺類、かぼちゃ、ジャガイモなど刻んだ野菜類など、いろいろ組み合わせを考えて作ります。禁じられている食物はいくつかあるものの、ほとんど人間と似ています。 但し、人間のように汗をかく季節だからと塩分を加えないこと。 飲み水にスポーツドリンク、ブドウ糖などを混ぜることも出来ますが、2〜3日もほとんど食べないような重症は、獣医さんに相談。 夏の安全のために・・・・普段 慣れていないことは させないことが、鉄則です。
熱中症・日射病 長い時間陽に当たっていたり、無理な運動をしたりの結果、体温のコントロ−ルが出来なくなると、熱中症、日射病などを発症します。
備えあれば憂いなし
暑さ以外のポイントとしては、 *ノミ、ダニ、蚊などの虫刺され対策・・・スポット式薬剤の使用が効果的ですが、稀にアレルギーもいるので獣医師の指示に従って、注意して下さい。 *フィラリアの季節です。今は良い薬もありますから、獣医に相談してその犬に一番合っているものを選んでください。 水を飲みすぎる時 犬のいる環境の温度を考えることは当然ですが、ほかには * 飲み水に1〜2滴のレモン汁を垂らすと、口のネバネバが減って飲む量も多少は減ります。 * 水を減らして、氷をいれてやる。 運 動 当然のことながら、暑い昼間に犬の運動をするのは無理があります。子犬の頃から熱いアスファルトの路面を歩いたり、強い日差しの中を走り回っている犬でも、真夏の日差しは危険です。早朝や夕方を選んでください。 また、気温や湿度、そして犬の様子を観察しながら運動の量を調節してください。毎日必ず一定の距離を走るとか、決まったことをしてやらないと犬に申し訳ないと思う人も、この季節に関しては頭を切り替えて柔軟に対応してください。犬の年令、その日のコンディション、外気温など、常に観察して少しでもつらそうなら、決して無理をしないことです。 出来るだけ木陰を選び、舗装道路や、路面にある金属類など、思いのほか熱くなって、足のパッドの皮がむけたりもしますから、注意してください。 シャンプー シャンプーの好きな犬は意外に多いので、夏は少しぬるめのお湯で洗ってリンスをし、最後にはさらに水温を下げてやると犬はうれしいようです。 シャンプーの嫌いな犬には、よほど汚れていない限りは手早く、のぼせないように済ませ、少しでも負担を減らしましょう。 シャンプーの間隔は、ほかの季節よりやや短めに、頻繁なほうが耳の汚れなども取ってやれます。この季節は特に耳の汚れが残りやすいので、気をつけてください。 ちょっと手を抜くと、外耳炎になり、放置してひどくなると耳に触れただけで悲鳴を上げるほどになってしまいます。そうならないように、普段から清潔に。 もちろんイヤークリーナーでの掃除も良いのですが、シャンプーのときに一緒に洗う癖がついていると簡単です。但し、強いシャワーは禁物です。湯水の勢いを緩くするか、手の平などで湯水をワンクッション置いて洗いましょう。 2003年7月掲載 |
|||||||||||||||||||||||||||||
Back |